<< 癌細胞たちとの優雅な暮らし | main | クリスチャン・ホソイ >>

スポンサーサイト

2016.01.17 Sunday

一定期間更新がないため広告を表示しています


  • -
  • -
  • -

NICIOKAのこと

2014.07.28 Monday

デビルマン、デビルドッグ、ザップなどの名で若いころから伝説となってきたが、ぼくはニシオカと呼んできた。そんな西岡昌典が死んだそうだ。
湘南のサーファーやボーダーたちの間で彼の名を知らない人はいない。

最近、糖尿病の合併症で入院したと聞いて見舞った。何年も会ってなかったし、見舞うことも伝えてなかったのだけど、部屋に入っただけで「ナガノさんがきたことは匂いでわかったよ」と言っていた。その後左膝から下を切断したときも訪ねた。「これまで世界で最年長のスケートボーダーだったけど、これからは世界最初の義足のボーダーになれるね」と言うと「アメリカには両足が義足のボーダーがいるよ」と笑っていた。
義足ができてリハビリをしている病院にも訪ねた。話しているとき病室に役所の人たちがふたりやってきた。障害者になるニシオカに話があるようだった。そのうちのひとりが胸にバッジをつけているのをニシオカは見逃さなかった。
「あんたはナントカ部長かも知れないけど、おれはあんたの部下じゃないんだから、この部屋ではそんなバッジは外せよ」部長はあわててバッジを外していた。

ニシオカのこんなエピソードはたくさん知られていると思う。
ずいぶん前だけどぼくはニシオカが運転する車の助手席に座っていた。ご存知のように鎌倉は道が狭いのであちこちで道を譲りあわなければいけない。そのときの対向車の男が怒鳴ってきた。「どけよ。こっちは仕事で急いでるんだよ」
ルーフにサーフボードを積んでいたニシオカは怒鳴り返した。
「おお、こっちは遊びだよ。仕事は遊びより偉いのか? 金儲けしてるだけだろ? 協力したら金を分けてくれるのかい?」
対向車は黙って道をあけ、ニシオカは車を進めた。

声はでかいし、態度もでかい。
日本社会ではトラブルメーカーとしか思われないだろうね。
でもぼくにはナントカ部長や対向車の男こそトラブルメーカーであって、ニシオカが言うことはいちいち理にかなっていたと思う。

 nici.jpg

あのね、この世界は絶対誰かの気持ちが作ったもんなんだ。だから俺は俺の状況を自分で作る。リアリティってそういうもんだよ。たとえ体はやられても、俺のヴィジョンはやられてない。俺、殺されても死なないもの。

 ------- 写真と文『ザ・ブック・オブ・ローニン』(1986年)より

30年つき合ってきたニシオカの話はまだまだ書き足りない。
実を言うと彼が死んだなんて実感がまるでない。
ほんの数週間前に電話をくれたばかりなのだ。
 keisen.jpg



スポンサーサイト

2016.01.17 Sunday


コメント
魂は永遠です。
ただ目の前から姿が消えただけ。
今度は自由に何処へでも行ける。
南風さんがふとニシオカさんのことを考えた瞬間、ニシオカさんは南風さんの傍にいらっしゃるでしょう。
ニヤニヤしながらそこにいるのが私には見える気がします。
  • ゆめ
  • 2014/07/28 5:41 PM
西岡さん亡くなったのですか。
  • 鎌田
  • 2014/07/28 7:18 PM
ちゃんとNICIOKAさんは、生きてますね。
  • がめら
  • 2014/08/01 6:03 AM
普通だったら眉をひそめてしまうようなシニの行動も、長野さんが誰よりも大きな愛と深い理解で受け止めていたんですね。受け止めてくれる存在があったから、安心して破天荒なことができたんじゃないかって思います。
  • うらら
  • 2014/08/01 7:40 AM
コメントする









sponsored links
プロフィール
本名・長野眞
フライ・コミュニケーションズ代表

1948年生まれ。1971年上智大学を卒業後、新聞記者、コピーライターの仕事を経験し、シカゴに留学。帰国後「日本国憲法」(小学館)を共同編集したことで本を作る楽しさを知り、北山耕平とともにフライ・コミュニケーションズを設立。斬新でユニークなアイデアと感性で、数多くの作品を企画、編集、執筆する。2009年世界にたった一冊の本をつくる「ニュー・グリーティングブックス」のHPを開設。10年間横浜の小さな森の中で自然とともに暮らし、現在は鎌倉の海辺で閑かな日々を過ごしている。
NEW GREETING BOOKS

NEW GREETING BOOKS

再誕を、あなたの手で。
ご存知のグリーティングブックスが
ニュー・グリーティングブックスとして、生まれ変わります。
こんどは、世界に一冊だけの本。
本に新しい生命を吹き込むのは、
あなたです。

Twitter、Facebookもお楽しみください!

fb.png
最近のエントリー
アーカイブス
カテゴリー
search.png


コメント
ブックスタイトル
南風椎の代表作を紹介します
スケルトン・キー―グレイトフル・デッド辞典
スケルトン・キー―グレイトフル・デッド辞典 (JUGEMレビュー »)
スティーヴ シルバーマン,デイヴィッド シェンク
リンクス
アザーズ
qrcode