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ジョン・レノン 1969年の日記
2010.08.24 Tuesday
1970年前後のアメリカに『アスペン』という2000部限定のアートマガジンがあった。
毎号違ったかたちの箱にいろんなアーティストがいろんな作品を入れていて、たしか9号で廃刊になった。
そのうちのひとつにジョン・レノンが参加したことがある。彼の作品は、1969年の元日から大晦日までの日記帳だった。
「起きた。仕事に行った。家に帰った。テレビを見た。寝た」
というまったく同じ文章が月曜から金曜まで書かれている。土曜日曜だけは「外出した」「妻とファックした」などの記述がまじっているが、平日はえんえんと同じ繰り返しだ。
7月半ばに「マジョルカ島へ」とだけ書かれて、2週間ほど空白の日記になっている。
一体どうしたんだろう?
日記には書けないような楽しいことをしていたの?
日記帳を旅に持って行くのを忘れた?
マジョルカ島に行ったなんて嘘なんだろうか?
などと想像力がはね回る。
一年間の日記で、何も書かれていないこの空白ページが一番のハイライトだ。
旅から帰ってきたらまた、
「起きた。仕事に行った。家に帰った。テレビを見た。寝た」
の日記が年末まで繰り返されていく。
ぼくのこのブログ日記も今日まで一週間以上空白だった。にもかかわらず毎日多くの人たちが訪問してくれていたようです。ごめんなさい。
あまりの暑さに、ぼくもマジョルカ島へ旅をしていました。
もちろん嘘です :-)
残暑にへたばって、日記を書く気力がなかったんです。
ジョン・レノンの日記は最後のページのメモ欄にこう書かれている。
「来年の日記帳を買いに行くのを忘れないように」
ジョンのこういうウィットが大好きだったな。
・・・・・・・・・・・・・・・
追記(2010/09/18)
誤解した人が出たようなので、追記します。
これはジョン・レノンのほんとうの日記ではありません。アートマガジン『アスペン』にジョンが寄せた作品です。
彼がこれを書いたのは68年の11月だと言われています。68年に書いた69年の日記。つまり、未来の日記だったわけです。
68年の11月は『ホワイトアルバム』や『トゥーヴァージンズ』が出たころですね。
一発花火
2010.08.15 Sunday
遠くから花火の音が聞こえてくることが多くなった。
この夏も花火大会にいくことはなさそうだ。
何年か前、諏訪湖の「新作花火大会」を見に行った。小さなデジカメしかなかったので「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるだろう」と、100回近くシャッターを切った。
あとで確認したらほとんどがさみしくなるようなひどい写真ばかりだった。しかしたった一枚だけ、奇跡としか思えないようなすごい写真が撮れていた。
その写真をご覧ください。
ぼくと同じように花火大会に行けないあなたのために、とっておきの一発花火。
手のひらで床をバンと叩いて、ご鑑賞ください :-)
残暑お見舞い、です。
夏の夜の妖花
2010.08.12 Thursday
カラスウリの花が咲きはじめている。
日が暮れると細い毛を器用に四方に広げはじめ、暗闇の中で真っ白に咲いて、朝にはしぼんでしまう。
人の目を楽しませるために咲く花でないことだけは確かだ。
ひと晩だけの花。
受粉目的で蛾をおびきよせるための美しさらしい。
10cmたらずの花だけど、見れば見るほど妖艶なので、毎年夏の夜には懐中電灯片手に、ぼくもおびきよせられる蛾のように茂みを探して回る。
写真は花の一部が黄赤っぽくなっているが、これは懐中電灯で照らしながら撮ったため。
PhotoShopで修正しようかとも思ったけど、撮影の苦労のあとを残しておこう。
『スケルトン・キー』
2010.08.09 Monday
一年前の今日はこんな日記を書いた。
去年はぼくが訳した『スケルトン・キー グレイトフル・デッド辞典』から「訳者あとがき」の一部を紹介した。今年はこの本の著者のひとりであるデイヴィッド・シェンクが書いた序文の始まりの部分を紹介したい。
ぼくを最初のショーに連れていってくれたのは高校の英語担当、ボブ・モーゼス先生だ。
1983年4月10日、ウエスト・ヴァージニア州モーガンタウン。ぼくは16歳だった。もし先生が今どこにいるかわかったら、個人的に感謝を言いたい。モーゼス先生にとっても、あれがはじめてのショーだった。
「グレイトフル・デッドこそ」翌朝、教員室で、先生は確信をこめて言った。
「これまでにアメリカ合衆国が生み出した最高のものだ」
ぼくは反論できなかった。
素敵な書き出しでしょう?
自分で訳しておいて言うのもなんだけど『スケルトン・キー』は面白い本だ。こんなバンドがほんとうにいたんだ。こんなファンたち(デッドヘッズ)がほんとうにいたんだ。と、デッドの曲をひとつも知らない人でも楽しめる本になっている。
神話学者のジョゼフ・キャンベルは、80歳を過ぎてはじめてデッド・ショーを見て「グレイトフル・デッドは原子爆弾の解毒剤だ」と語った。
アメリカ合衆国が生んだ最良のものがグレイトフル・デッドなら、アメリカが生んだ最悪のものが原子爆弾だ。
今日8月9日は、長崎に原爆が投下された日であり、15年前、デッドのギタリストだったジェリー・ガルシアが亡くなった日でもある。
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本名・長野眞
フライ・コミュニケーションズ代表
1948年生まれ。1971年上智大学を卒業後、新聞記者、コピーライターの仕事を経験し、シカゴに留学。帰国後「日本国憲法」(小学館)を共同編集したことで本を作る楽しさを知り、北山耕平とともにフライ・コミュニケーションズを設立。斬新でユニークなアイデアと感性で、数多くの作品を企画、編集、執筆する。2009年世界にたった一冊の本をつくる「ニュー・グリーティングブックス」のHPを開設。10年間横浜の小さな森の中で自然とともに暮らし、現在は鎌倉の海辺で閑かな日々を過ごしている。
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