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2016.01.17 Sunday

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『生きる』

2010.09.29 Wednesday

70年代にシカゴ美術館で、日本映画ウイークのような催しがあった。プログラムの中でぼくは黒澤明の『生きる』(1952)を観てなかったので、観に行った。
魂が震えるような、いい映画だった。
そして映画終了後にも感動的なシーンがあった。上映が終わるとすぐに客席にいたひとりの女性が立ち上がって大声を上げ、拍手をはじめた。それにつられるようにたくさんの人たちが立って、熱烈な拍手をした。監督がきているわけでもないのに、ただのスクリーンに向けてのスタンディングオベーション。あとにも先にもあんな光景、見たことがない。
客席でぼくは、日本人としてまるで自分が称賛されているような幸福感に包まれた :-)

昨夜テレビで『生きる』をやっていた。今度も魂が震えた。
魂なんて体のどこにあるのかもわからない?
そんな方はぜひこの映画を観て、志村喬が歌う『ゴンドラの唄』を聴いてください。
もし体のどこかに震えるものを感じたら、そこです。
そこがあなたの魂です :-)


いのちみじかし 恋せよ乙女
赤きくちびる あせぬまに
熱き血潮の 冷えぬまに
あすの月日の ないものを

--------- 『ゴンドラの唄』

 ikiru.jpg

Life is brief
Fall in love, maidens
Before the crimson bloom
Fades from your lips
Before the tides of passion
Cool within you
For those of you
Who know no tomorrow

--------- 『ゴンドラの唄』
(英語版字幕スーパー)



 keisen.jpg






『千の風になって』の歌

2010.09.16 Thursday

昨夜からこのブログへのアクセスが激増している。
この3月に一日13万近いアクセスがあったりしたけど、あの時期に迫るような数の人たちが「1000の風」の連載日記を読みにきてくれている。
どうやら夕べテレビで『千の風になって』の歌が放送されたらしい。それを見た心ある人たちが、ぼくのブログについてtwitterでささやき続けてくれているようだ。

「1000の風」の連載日記はもう何か月も書いてなかった。
自分のホームページで反論すると言っていた新井満さんの反論は、まだない。twitter上での対談の呼びかけにも回答がない。
新井さんの近況などについていろいろと興味ぶかい話も聞いたけど、書かないようにしてきた。真偽があいまいな話を書いてしまって、これまでの連載に書いてきたこと全体への信頼を損ねるようなことはしたくなかったからね。

『千の風になって』という歌については、これまで日記でふれたことがない。
秋川さんという人が歌っているとは知っていたが、ちゃんと聞いたことがないし、知らない歌だからだ。テレビで流れてきそうになったら、すぐにチャンネルを変えてきた。
連載を読んでくれていた人なら、ぼくのそんな気持ちがわかってくれると思う。

    tegami**.jpg

写真は、3年前新井さんが送ってきた『千の風になって』のCDブックと、添えられていた手紙。これが届いた数日後に彼はわが家にきて、謝って帰った。
ぼくが彼の『千の風になって』を読んだのは、あのときがはじめてだった。
本の中ではぼくの『1000の風』も紹介されていた。でも短い紹介文の中にあきらかな事実誤認も書かれていたし(一応こうやってアリバイ作りはしていたんだ)というのが、読んだときの感想だった。本をぼくに送ってきたのは、出版してから3年半もたってからだったしね。
ご覧の通り、CDが入った袋はいまだに封を開けていない。
歌を聴こうなんて気分にはとてもなれないのだ。

『千の風になって』の歌は『哀しみのソレアード』という外国の歌によく似ている、という情報も複数寄せられていた。でも肝心の『千の風』をよく知らないのだから、比較判断もできない。
昨日今日と、歌がきっかけでブログに多くの人が訪ねてくれているので、教わっていた『哀しみのソレアード』のYouTubeを見てきた。
とても美しい歌だった。
ぼくには何もわからないが、似てようと似てまいと、いい歌なので楽しんでください。




                               (続く)

・・・・・・・・・・・・・・

お知らせ


ジョン・レノン 1969年の日記(8/24)に追記をしました。




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ブラリひょうたん

2010.09.15 Wednesday

 burari*.jpg子どものころ夏休みに従兄弟とふたりで、逗子のある家で過ごした。
留守番を頼まれたのだ。海に近いから、海水浴もできた。
そこは脚本家の住まいだったので、面白そうな本が本棚にあふれていた。

その中からぼくは『ブラリひょうたん』というのんきで気がぬけたようなタイトルの本を選び、読みはじめ、読みふけった。
めちゃくちゃに面白い本だった。
戦後間もないころに、高田保という人が東京日日新聞に書いたコラムを集めた本だ。

ネット上に一部が掲載されていたので、懐しく読んでみた。
いま読んでもめちゃくちゃに面白い。
まったく古びてない。

政治や選挙や演説についてのコラムなんて、まるで昨日今日の日本のできごとを語っているようで、むしろ新鮮だ。





写真は、縄文庵の長老がたいせつに育てているひょうたん。
猛暑の夏に40cmにまで成長した。
今はようやく吹きはじめた初秋の風にブラリブラリと揺れている。




 keisen.jpg




レディ・ダイの栄枯盛衰

2010.09.10 Friday

中国の下着メーカーが「ダイアナ」というブランドを売り出し、ダイアナ妃のそっくりさんの下着姿の広告写真を出したことが話題になっている。それも彼女の命日に。

亡くなって10年以上たつのに、まだこんなニュースが世界を駆け巡るのだね。
ダイアナ妃の人生というのは「おとぎ話」だったんだな、とつくづく思う。

保育士だった彼女はイギリス王子の妻になり、子供たちを育て、チャリティ活動も熱心にやって幸福に暮らしていた。ところが夫の不倫や自身の不倫や王室内でのいろいろがあって、離婚。王室を出たあとはアラブの富豪と恋をして、その恋人と一緒にパリで謎だらけの悲劇的な交通事故死をする。

たくさんの人たちがたくさんの思いを流しこみ、たくさんの教訓を導きだしたに違いない現代の「おとぎ話」だ。

    lady di*.jpg 

図版は1907年に出た本 "The Ups & Downs Of Lady Di" の表紙。
レディ・ダイの栄枯盛衰、とでも訳すのかな?
100年前にダイ(アナ)妃の人生を予言したような「おとぎ話」だと伝えられる。
ぼくはまだ読んでないけど。



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稲荷信仰

2010.09.05 Sunday

稲の神からの使者であるキツネを捕まえたら、生きたまま、首から上だけを出して土に埋める。そしてキツネの目の前に、油揚げを置く。
大好物の油揚げを見てキツネは興奮するのだが、どうやっても届かない。

キツネはそのまま放置され、やがて衰弱し、空腹で油揚げを見つめたまま死んでいく。
死んでいく瞬間、キツネのすべての思いのこもった霊魂が空中を飛んで、油揚げに乗り移る。江戸時代までの稲荷神社には、そうやってキツネの魂を封じこめた油揚げが祀られていたのだそうだ。

ぼくは稲荷神社の信奉者ではない。
でも、稲荷寿司の熱烈な信者だ。子供のころから「おいなりさん」が大好きだった。
甘味、酸味、塩味が三味一体となったこの聖餐をよく食している。

よく食しているだけではない。
誰の手も借りず、自分の力だけで、稲荷寿司を作ることだってできる :-)

      inari*.jpg



 keisen.jpg



ホドラーの『樵夫』

2010.09.01 Wednesday

高校の3年間を、父の仕事があってぼくは倉敷で過ごした。
午後の授業を抜け出して、よく大原美術館で時間をつぶした。
2階の角にあった(スイスの画家)フェルディナント・ホドラーの『樵夫(きこり)』が好きだった。まだ倉敷には新幹線がきてなくて観光客も少なかったし、あの部屋には警備員もいなかった。
いつも誰もいない部屋のソファに座って、ホドラーの「シャキッとした」「ひと際かっこいい」樵夫の絵を眺めていた。絵の前でうつらうつらと眠ったこともあった。
   hodler.jpg
まだ脳細胞が若くてやわらかい頃に、絵に夢中になるとしたら、そこに何が描かれているかに十分に注意した方がいい。
あれから何十年もたって、この森にやってきてある日、ぼくは自分があの樵夫のような日々を過ごしていることに気がついたのだ :-)
大きな斧を振り上げて木の切り口に叩き込むなんて技術や体力はないので、もっぱらチェーンソーに頼っている樵夫だけどね。

   chainsaw*.jpg

少し前にアンリ・ルソーの『夢』について書いたが、『樵夫』もあの絵と同じ1910年に描かれている。今年で生誕100年になる絵だ。
今、世田谷美術館で開かれている「ヨーロピアン・モダン」の展覧会に、ホドラーの絵も何点かきているらしい。行ってみたい。
ホドラー展を日本で開くという企画があるという噂も聞いた。楽しみだね。



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プロフィール
本名・長野眞
フライ・コミュニケーションズ代表

1948年生まれ。1971年上智大学を卒業後、新聞記者、コピーライターの仕事を経験し、シカゴに留学。帰国後「日本国憲法」(小学館)を共同編集したことで本を作る楽しさを知り、北山耕平とともにフライ・コミュニケーションズを設立。斬新でユニークなアイデアと感性で、数多くの作品を企画、編集、執筆する。2009年世界にたった一冊の本をつくる「ニュー・グリーティングブックス」のHPを開設。10年間横浜の小さな森の中で自然とともに暮らし、現在は鎌倉の海辺で閑かな日々を過ごしている。
NEW GREETING BOOKS

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