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ジョン・レノン『家族生活』 3

2010.10.27 Wednesday

被写体であるレノン・ファミリーが、今写真を撮られていることを知っている写真。
西丸文也さんとファミリーとの心の交流が読める写真。
つまりパパラッチには決して撮ることができない写真ばかりで構成した本は『ジョン・レノン 家族生活』(John Lennon "A Family Album")として、1982年12月に角川書店から出た。
西丸文也さんのはじめての写真集になり、ぼくが北山耕平と始めたばかりだったフライ・コミュニケーションズが手がけた最初の本になった。
「日本国内だけ」というのがヨーコさんとの約束だったが、出版の噂は当然すぐに海を越え、ポール・マッカートニーから40冊、ピーター・フォンダから20冊というような注文が入ってきたりした :-)

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1990年に小学館から出し直すことになり、表紙写真を変えた。
ジョンが WORKING CLASS HERO(労働者階級の英雄)とプリントしたTシャツを着て、鬼押出しで撮った家族写真だ。
この本は同時に英訳されて、やっと正規に海外に紹介された。

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西丸文也さんとはその後もずっといい友人関係が続いている。
ニュー・グリーティングブックスの中の一冊『元気ですか』(I'm OK, And You?)の写真は、西丸さんが撮影してくれたものだ。



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ジョン・レノン『家族生活』 2

2010.10.25 Monday

20世紀でジョン・レノンほど膨大な量の映像記録/インタビュー記録を残した人は他にいない、と言われている。ビートルズというバンドを作って世界を変えて以来、ジョン・レノンは数多くのカメラとマイクに四六時中取り囲まれて生きてきたからだ。
しかし「ハウスハズバンド時代」のジョンだけはほとんどまったく顔も見えなかったし、声も聞こえてこなかった。

西丸文也さんが見せてくれた写真は、その時代の貴重な記録だった。
旅行に行ったり、動物園に行ったり、ピクニックに行ったり、誕生パーティをやったりしている、どこの家庭のアルバムにも貼ってある普通の生活が写されていた。ファミリーはみんな、カメラをもつ西丸さんに向けて、くつろいだいい表情を見せていた。
普通のお父さん、普通のお母さん、普通の息子が撮られている、普通の家族写真。

ジョンもヨーコも、ぼくらと同じただの人間だったんだ。
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この写真を必要としている人たちは世界中にたくさんいるに違いない。
公開しましょうよ、と西丸さんを説得するのは大変だったけど、ヨーコさんを説得するのはもっと大変そうだった :-)
西丸さんもぼくも、何度もニューヨークに飛んだ。

                       
                         (続く)


写真左は、軽井沢。(79年夏)
右は、上野動物園。(77年夏)



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ジョン・レノン『家族生活』 1

2010.10.21 Thursday

デーブ・スペクターからメールがきて、こんなやりとりがあった。

「すみません! 数少ないアメリカ人の友人が軽井沢に行くのですが、ジョン・レノンが通ったカフェの名前がわかりますか? あとマンペイホテルですよね?」

「軽井沢のカフェはみんな、ジョンがきたと言ってるのでよくわかりません。万平ホテルの一階のカフェでジョンがいつもスグリのシャーベットを食べていたのは(一般には知られてないけど)間違いありません」

「面白い! ありがとうございます」


ジョン・レノン→軽井沢→万平ホテルという連想は、アメリカ人の間にも広まったのだね。

ジョンが死んだ翌年に、ぼくは西丸文也さんと知り合えた。レノン一家でアシスタントをしていた日本人がいると聞いて原宿の西丸さん宅を訪ねたのだ。
70年代の後半、ジョンはすべての音楽活動、平和運動をやめて育児に専念し、世間からは完全に隠遁していた。のちに「ジョンのハウスハズバンド時代」と呼ばれることになるこの時期、どこで何をしていたのかまったく知られていなかった時期に、西丸さんはレノン一家のそばにいたという稀有な経験をした人だった。

ジョンとヨーコがなぜこの人物を採用し何年間も一緒に過ごしたのか、その理由は知り合ってすぐにわかった。西丸さんは陽気で暖かくて、とても真面目な人だった。
聞きたい話は山のようにあったので、ひんぱんに西丸さん宅に通うようになった。

西丸さんが運転してボストンの(マクロバイオティックの)久司道夫さんを訪ねた話。芸術運動グループ「フラクサス」のジョージ・マチューナスの農場を訪ねた話。マンハッタンの街であのサイケデリック・ロールスロイスを走らせた話。
などなど、胸が躍るような話ばかりだった。
毎年夏には日本にきておもに軽井沢で過ごしていたということも初めて知った。

西丸さんは写真家なので、レノン一家の写真を多く撮っていたらしいことは話のはしばしでわかったが、積極的に見せてくれる様子もなかったし、プライベートな写真だろうし、ぼくも無理なおねだりはしなかった。
いずれ時がくれば見せてくれるかも知れないとは思っていた。

知り合って友だちになって、一年近くたったころに西丸さんは写真を見せてくれた。
あの午後のことは忘れられない。
居間の卓袱台の上に西丸さんは写真の入った箱とライトボックスを置いて、部屋を出ていき、庭仕事を始めた。
部屋にひとり残って一点一点の写真をライトボックスで覗きこみながら、恥ずかしいけどぼくは震えていた。けっしておおげさではなく、ロゼッタストーンを初めて見た考古学者のように興奮していた。大変な発見をしてしまったのだ。


                          (続く)


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万平ホテルの正面で、ジョンとヨーコ。(77年夏)
Photo by Nishi F. Saimaru
from the book "A Family Album"



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Happy Birthday, John.

2010.10.09 Saturday

40歳で殺されて、もう30年もたってしまったんですね。
生きていれば、あなたも今日で70歳。

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おととい、長年のビートルマニアである岩橋裕之さんに誘われて、映画『ノーウェアボーイ』の試写を観てきました。あなたの少年時代を描いた映画です。
観終えたあと六本木の町に出て、岩橋さんとたらふくビールを飲んであなたの誕生日を祝しました。

「行方不明のお父さんはフレッド・レノンだと思ってたのに、映画の中のジョンは『アルフ』と呼んでいたね。正しくはアルフレッドだったんだろうね」

「『マギー・メイ』はお母さんがバンジョーを教えてくれたときに、はじめて教わった歌だったってのは知らなかった」

「ジョンとポールがセント・ピーターズ教会で出会った運命のできごとを、動くカラー映像で観れたのがよかった」

「ポールと出会わなかったら、ジョンのバンドはリバプールの素敵なロックンロールバンドで終わったかも知れないね」

など、あなたのファン以外にとってはどうでもいいような話を2時間もしました :-)
ラブとピースを希っているのに何をどうしたらいいかがわからず、つい暴力をふるってしまうようなあなたの(ぼくたちと同じように普通の)少年時代をみずみずしく描いたいい映画でした。

ハッピー・バースデイ、ジョン。
今日世界中で何百万人もの人が、twitterでこの言葉をささやくでしょう。
ぼくもその中のひとりであるのが、うれしいです。

      jp .jpg



・・・・・・・・・・・・・

ヨーコ、ショーン、シンシア、ジュリアンが
一堂に会しました。






記念日の花

2010.10.06 Wednesday

ネット上でしか紹介できないような本を作って、そんな本ばかりを並べた本屋をネット上で始めてみたい、という長年の願いがかなったのは一年前だった。
ニュー・グリーティングブックスのサイトだ。
まだ9種類しか並んでいないけど、これからラインナップも増やしていきたい。

一周年のお祝いに、京彩さんからプリザーブド・フラワーが届いた。(実は preserved flower なるもののことを、ぼくは初めて知った)

     preservedflower*.jpg

京彩さん、いつも記念日を思い出させてくれてありがとうございます。
何かの記念日にはこうやって一瞬でも立ち止まって、過去を振り返ったり未来に思いをはせたりする時間をとるというのは、大事なことなんですよね。



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プロフィール
本名・長野眞
フライ・コミュニケーションズ代表

1948年生まれ。1971年上智大学を卒業後、新聞記者、コピーライターの仕事を経験し、シカゴに留学。帰国後「日本国憲法」(小学館)を共同編集したことで本を作る楽しさを知り、北山耕平とともにフライ・コミュニケーションズを設立。斬新でユニークなアイデアと感性で、数多くの作品を企画、編集、執筆する。2009年世界にたった一冊の本をつくる「ニュー・グリーティングブックス」のHPを開設。10年間横浜の小さな森の中で自然とともに暮らし、現在は鎌倉の海辺で閑かな日々を過ごしている。
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