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花泥棒はしない
2013.06.24 Monday
散歩をしていて花泥棒をしたくなったときの秘訣を力説してくれた知人が、昔いた。
彼によると、花泥棒は絶対にバレないようにしなければいけない。そのためには全体のバランスを崩さないように盗らなければいけない、ということだった。
(バレなければ泥棒してもいいの?)(バランスの善し悪しを泥棒の側で決めていいの?)と苦笑しながら聞いていた。
ぼく自身、長いことベランダや庭でたくさんの花を育ててきた経験から言えるのだけど、花が好きで育てている人たちは、お願いすれば快く分けてくれるものだ。
花泥棒。なんだか語感はきれいだけど、そんなことしない方がいい。
鎌倉での散歩道ではいくつかのお宅で道行く人に鉢植えや花を分けてくれていて、ぼくもよくお世話になっている。
先週美しいガクアジサイを分けてくれていた家の前に、今回は立葵(たちあおい)の花があった。梅雨の間に咲くので梅雨葵とも呼ばれている。そのお宅の入り口に見事に咲いているのは知っていたけど、半分ほどを切って一部を分けてくれたようだ。
先週もそうしたのだけど、今回も「いつもありがとうございます」とお礼のメッセージを書いていただいた。バケツに入った花を選んでいるとき、白髪のご婦人が横にしゃがんで「ひとりだともらいにくかったんですよ」と笑って一緒に花を選んだ。
帰り道の方向が同じだったので一緒に坂道を登ってきた。
そしてびっくりしたのは、彼女が会釈をして入っていったのは、去年の夏酔芙蓉(すいふよう)という不思議な花を咲かせてくれていた家だった。
今年はまだ咲いてないが、開花をたのしみに待っていた。
顔見知りになれてよかった。
今度お会いしたら、酔芙蓉の話をいろいろと聞かせてもらおう。
『日本国憲法』(小学館)
2013.06.19 Wednesday
北山耕平、小田豊二さん、そしてぼくの3人が島本脩二さんから招集を受けたのは80年代のはじめでした。『日本国憲法』なる本を作るということでした。
それから毎週木曜の夕方、小学館本社のひと部屋に集まり弁当を食べながら「憲法会議」が開かれました。みんなで好きな本や映画の話をしているだけのような「憲法会議」は半年続きました。あとで思えばコンセプト作りの時期だったのでしょう。半年後から実際の写真集めや編集の作業が始まり、翌82年春に『日本国憲法』は世に出てご存知のような大ベストセラーになりました。
この写真は82年末の小学館の忘年会。突然呼びされて出かけていき、表彰(?)されている「憲法会議」のメンバーです。小田さんはスーツ姿だけど、バンダナを巻いたニール・ヤングのような北山耕平と、セーターとジーパンだけのぼくは金屏風の前に立つのがまるで似合ってないね :-)
出版前、実を言うと周囲からは「そんな本を作っても売れるわけがない」と言われ続けていました。だから「100万部売って、世界一周旅行に行こう」というのは会議メンバー同士が励まし合う、合い言葉のようになっていました。
マスコミでは「100万部のベストセラー」と報道されていましたが、ぼくたちには「ほんとうは100万部に届いてない」と伝えられ続けていました。
今回『憲法』の本がソフトカバー化され、コンビニでも売られるとかで何万部も増刷されると聞き、今度こそ100万部超えたんじゃないかと、北山とぼくはフェイスブック上で話し合いました。「世界一周旅行に招待してくれるはずだったね」「島本さんから電話があって、101万部行ったらしい」「さあ、小学館どうするんだろう」などなど。
驚いたことに島本さんから電話や手紙で記憶違いだからフェイスブックを早く訂正するように要求がきました。今もって訂正はしていません。記憶違いじゃないからです:-)
96年に出た『編集者になる!』(CWS)という本があります。
これは『日本国憲法』がどのように作られたかを島本さんが語っている本で、憲法会議のメンバーにも取材がきて、それぞれが思い出を語っています。北山耕平のコメントはこのようにしめられています。
「百万部までもう一息ですか? 島本さん、百万部売れたら世界旅行に連れていってくれるっていう約束覚えているかな」
30年以上前の口約束だし、いまさらみんなで世界旅行する気なんて、さらさらありません。「ほんとうに100万部行くなんて思ってなかったから、あんな約束しちゃってごめん、ごめん」とでも言ってくれれば笑って終わる話なのに、なぜかあまりにも強い要求がきたので一言書いておくことにしました。
憲法をめぐってはギリギリの瀬戸際にきているときでもありこんな「言った、言わない」の話をしている場合じゃありません。『日本国憲法』はぼくが生まれてはじめて企画編集に関わった本でもあり、ひときわ愛着もある本です。今もパワーをもっていて新しい販路を通して広く伝わっていくことを祈っています。
ぼくの本『日本国憲法 前文』は長く埋もれていた本でしたがこのブログに以前全文を掲載しておいたものが自然に発見され、口コミで伝わって、たくさんの人たちに読んでもらっています。先週デーブ・スペクターは橋下徹氏と食事をすることになり『前文』の本を手渡して「これはいい憲法であって日本のために役立った、と話してから改憲の話をしたらいい」とアドバイスしたとか。
「前文への思いのまとめ」に集められたみなさんのおおくのtweetを読んだことが、デーブを動かしたようです。
ひとりの愛国者として
2013.06.10 Monday
強い日本を作るのは他の誰でもありません。
私たち自身です。
---- 安倍晋三 所信表明(2013)
その日の日記の結論をもう一度ここに書いておきたい。
ぼくは今、自分自身を愛国者だと思っている。「戦争を永遠に放棄する」と世界に向けて宣言したこの国をこよなく愛している。
そして、ひとりの愛国者として「日本を戦争ができる国にしよう」としている一部の勢力から、この国をなんとしても守りたい。
今日デーブがメールでこんなダジャレを送ってきた。
首相がビートルズをカバー → アベーロード
まったくもう、しょうがないね :-)
でもアベーロードを歩くのだけはまっぴらだね。
写真は上から、
「シンガポール陥落旗行列」銀座3丁目で昭和17年(林忠彦)
「防空演習のための隣組整列」昭和16年頃(林忠彦)
「子どもの隣組」牛込矢来町で昭和15,6年頃(木村伊兵衛)
すべて『昭和の記憶 写真家が捉えた東京』より
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本名・長野眞
フライ・コミュニケーションズ代表
1948年生まれ。1971年上智大学を卒業後、新聞記者、コピーライターの仕事を経験し、シカゴに留学。帰国後「日本国憲法」(小学館)を共同編集したことで本を作る楽しさを知り、北山耕平とともにフライ・コミュニケーションズを設立。斬新でユニークなアイデアと感性で、数多くの作品を企画、編集、執筆する。2009年世界にたった一冊の本をつくる「ニュー・グリーティングブックス」のHPを開設。10年間横浜の小さな森の中で自然とともに暮らし、現在は鎌倉の海辺で閑かな日々を過ごしている。
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