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しばしガラパゴスへ
2013.09.19 Thursday
カート・ヴォネガットに『ガラパゴス』という小説がある。
南米で未開のインディオの部族が発見される。人数も少ないので絶滅してしまうのでは、と世界中の人たちが心配していた。
そんな頃、あるミスからミサイルが発射され、それが引き金となって、全人類が滅亡してしまう。ちょうどそのとき、南米から「大自然ツアー」に出発した船がガラパゴス島に到着し、この船に乗っていたわずかな人たちだけが全滅から生き延びる。
船にはあの未開の部族の娘たちも偶然乗り込んでいた。絶滅を危惧されていた部族の娘たちがガラパゴスで「次の、新しい人類」の母親になっていくのだ。
誕生した新人類は海の中で暮らすことが多くなり、前人類を滅ぼす原因となった「巨大化し過ぎた脳」も小さくなりはじめる。
そして100万年後、新人類はアザラシのような風体でガラパゴスの海に暮らしていた。
カート・ヴォネガットらしい奇想天外な物語だ。
「ぼくはずっとオプティミストだったのだけど、ヒロシマのニュースを聞いて以来、ペシミストになった」と語っていたヴォネガットが初めてヒロシマを訪問したのは、80年代のことだった。そのとき東京の草月小ホールでわずかな聴衆を前に講演をしてくれた。
朴訥とした話の中で、今『ガラパゴス』という小説を執筆中であるとも明かしてくれた。
数年後に発表された『ガラパゴス』には、ヒロシマ訪問の影響も反映されていた。
先週末からGOOGLE MAPに、Street Viewで見るガラパゴス島が公開されている。
これはいい。
Street Viewでの観光なら足跡ひとつ残さずに、自然破壊もしないで帰ってこれる。
今のところ島の陸上の景色と海底の散歩の二種類が発表されていて、ぼくは断然「海底散歩」の方がお気に入りだ。
魚群との出会いもいいし「100万年後の人類」と思われる連中とも顔を合わせる。
何かと喧噪の多い日本からちょっとだけ逃げ出して、悠久の時の流れの中にしばし身をあずけている。人生には「気晴らし」が必要だからね。
ジェリー・ガルシア「smile」 3
2013.09.08 Sunday
オリンピックが東京に決まって大喜びしている人は今日のブログは読まないでください。あなたの喜びに水を差したくないからです。
原発事故も収束できずにいる今の日本でオリンピックなんかやってる場合じゃない、こんなところに外国のアスリートたちを呼ぶべきじゃない、と思っていたので今日の決定にがっかりし、落ち込んでいる人たちのためのブログです。
ひと足早く「2020年東京オリンピック・ポスター」が届いたので紹介します。
メールで届いたので作家は誰かわかりませんが、よく見るとすみずみまでよく作りこまれた凄いポスターです。
実に奇怪なポスター。しかしこの奇々怪々な世界が現実になってしまいました。
ジェリー・ガルシアの『smile』を購入してくれた人たちの手許には本はすでに届いていると思います。入手できなかった人たちのために、今日は別の絵、別の言葉を掲載します。
今日のような日、今日のような気分の日に読んでほしかったものです。
この先何が起きるのか?
この世界は
どんなあやしげなものになっていくのか?
僕はショーのすべてを見守っていたい。
何かを失うかも
とか恐れるあまり目をつぶってしまうなんて
もったいなくて、とんでもない話だ。
---- ジェリー・ガルシア
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本名・長野眞
フライ・コミュニケーションズ代表
1948年生まれ。1971年上智大学を卒業後、新聞記者、コピーライターの仕事を経験し、シカゴに留学。帰国後「日本国憲法」(小学館)を共同編集したことで本を作る楽しさを知り、北山耕平とともにフライ・コミュニケーションズを設立。斬新でユニークなアイデアと感性で、数多くの作品を企画、編集、執筆する。2009年世界にたった一冊の本をつくる「ニュー・グリーティングブックス」のHPを開設。10年間横浜の小さな森の中で自然とともに暮らし、現在は鎌倉の海辺で閑かな日々を過ごしている。
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